【インタビュー記事】CVC フィランソロピー責任者 ジュディ・マーズデン氏に聞く

世界最大級のプライベート・エクイティ・ファームのCVCキャピタル・パートナーズ(CVC)は2011年にCVC財団を設立、グローバル規模でフィランソロピー活動を展開している。昨年は日本での初めての寄付先として日本ベンチャー・フィランソロピー基金(JVPF)を選出、総額1000万円(2017年に500万、2018年に500万)を拠出いただいた。このほどCVCのフィランソロピー活動の統括責任者であるジュディ・マーズデン(Judy Marsden)氏が来日、JVPFを寄付先に決めた理由やJVPFの支援先を視察した感想などを伺った。(2018年3月29〜30日)

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*訪問先の一つ、発達わんぱく会の前で。ジュディ・マーズデン氏


このたびはJVPFに寄付金を拠出いただき誠にありがとうございます。改めて、CVC財団がJVPFへの寄付を決めた理由を伺えますでしょうか。特に、JVPFに共感いただいたポイントなどお聞かせ頂けますか。

JVPFは厳しい状況下におかれた子どもや若者の教育や就労の分野に注目しています。それらは私たちCVC財団が注力している分野でもあり、支援に対するアプローチがマッチしました。CVC財団は2011年に設立されたのですが、現在までにCVCがオフィスを構える15ヶ国において25を超えるNPOなどの団体に支援を提供しています。香港、欧州、米国ではベンチャー・フィランソロピー組織に対して資金拠出をしています。今回は、私たちの同僚の一人がJVPFの運営組織であるSIPのメンバーとしてプロボノ活動に参加しており、JVPFとの橋渡し役となってくれました。日本初のベンチャー・フィランソロピー基金であるJVPFに協力できることを大変嬉しく思っています。

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*左よりSIP高槻大輔理事、発達わんぱく会小田知宏代表、ジュディ・マーズデン氏


そう仰って頂き、大変光栄です。私たちも「ベンチャー・フィランソロピー」という手法や考え方は非常に大きな社会的意義があると信じているのですが、ベンチャーフィランソロピーの活動を通して、どれほど大きな社会的インパクトをもたらすことができると考えておられますか。

私たちは過去7年間にわたり世界の数々なベンチャー・フィランソロピー組織に対し継続的に寄付金を拠出しています。これら私たちが協力しているベンチャー・フィランソロピーの実際の活動や実績を目の当たりにすると、ベンチャー・フィランソロピーを通じてNPOなどの団体がいかに強くなり、持続的な成長を遂げているかがよくわかります。資金提供だけでなく、ベンチャー・フィランソロピーのスタッフがビジネスの手法を用いた伴走支援を行うことによって、支援先団体がより大きな社会的インパクトを実現できるという点は特筆すべきです。


実際にヨーロッパではベンチャー・フィランソロピーが日本以上に活発と聞いています。CVCは1981年に設立され、プライベート・エクイティとして成長を遂げていますが、欧州ではプライベート・エクイティとベンチャー・フィランソロピーはどのような関連性をもっているのでしょうか。

ベンチャー・フィランソロピーはプライベート・エクイティとその考え方や手法が類似しており、両者は非常に親和性が高いとされています。ですがプライベート・エクイティが投資に対しての利益、リターンに焦点をあてる一方で、ベンチャー・フィランソロピーはNPO法人等の改善やスケールアップに焦点をあてています。


CVCにおけるベンチャー・フィランソロピー活動、すなわち社員たちのプロボノ活動についてはどのように評価されていらっしゃいますか。

CVCの社員は率先してプロボノ活動に参加し、実りある結果を出していると思います。具体的には、戦略プランニング、現場オペレーションの改善、支援先団体のITマネジメント、資金調達、法的リスク管理・アドバイス等においてプロボノとして参加しています。そうした経験が、CVCの本業であるプライベート・エクイティの業務にも活かすことができていると思います。プロボノ活動と本業との間に大変良い循環ができていますので、社員のモチベーションも非常に高いです。


本当に心強いですね。最後に、JVPFに今後どのような活動を期待されているかお聞かせ下さい。

現在支援中の団体に対して、継続性を保ちながら、より大きな社会的インパクトをもたらすことができるよう支援を続けて欲しいです。また、こうした支援を必要としている団体を発掘し、より多くの団体を支援してほしいと思っています。

ありがとうございました。


マーズデン氏は、今回が初来日だという。JVPF委員会メンバー兼JVPFの運営を手がけるソーシャル・インベストメント・パートナーズ(SIP)の白石智哉・野宮博両共同代表理事はマーズデン氏に直接感謝を述べ、今後の日本の未来における支援活動についても議論を交わした。
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今回は、JVPF支援先のNPO放課後アフタースクールと発達わんぱく会を訪問。子どもたちによる手厚い歓迎を受けてマーズデン氏が感激する一場面も。
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訪問先においては、それぞれの支援団体の代表から、団体が向き合う社会的課題と解決に向けた取り組みなどを丁寧にヒアリング。支援の現場で子供達が生き生きと活動している様子を見て、「これらは大変素晴らしい取り組みであり、社会的に大きな意義がある。今後も定期的に日本を訪れたい」、と締めくくった。

【CVCについて】
CVC について CVC は、1981 年に設立されて以来、300 社以上の機関投資家から、累計で 710 億ドルを超える資金の受託、 運用実績を有する。プライベート・エクイティ・ファンドとして、経営陣とのパートナーシップの下で企業を買収し、 中長期的な企業価値向上を支援。設立以来、世界中で 300 社以上に投資を実行し、現在の投資先 50 社は、 合算で従業員数 35 万人、年間売上 1,000 億ドルに達する。

(インタビュー、記事:成瀬久美)

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